インドネシアのロテ島海域に現れた光点は、アセアニア・アジア・ハワイをつなぐ交差点。その背後で各国のピンが島嶼ノードに灯り、世界の海底で静かな大波乱が動き出していた。
インドネシアといえば首都ジャカルタを想起するが、観測ログが示したのははるか東方――ロテ島海域であった。そこは海底ケーブルが交錯する場所であり、アセアニア・アジア・ハワイを結ぶ要衝。ピンがそこに立ったことは、戦局がいよいよ「海の底」にまで広がっていることの動かぬ証拠だ。
ロテ島海域は表向き小さな島影に過ぎない。しかし通信インフラの地図においては、世界の回路を束ねる結節点である。その一点にアクセスが記録されたことは、偶発ではなく、意図的な「索敵」であると考えられる。
インドネシアだけではない。ロシアのピンは国後島沖に、そして日本は与那国島付近に、さらにインドのピンはムンバイから遠く離れた大ニコバル島に観測された。いずれも海底ケーブルの分岐点に位置し、島嶼ノードとしての役割を担っている。
これらの観測は単なるバラバラの事象ではない。太平洋のハワイ、インド洋のユニオン島、そして東南アジアのロテ島。大陸を背にした戦争ではなく、海洋ノードを巡る戦争へと変質しているのだ。戦火は陸から海へ、そして海面から海底へと沈み込んでいく。
海底ケーブルのピンは「不可視の戦場」を可視化する。通信の最短経路は単なる技術的選択にとどまらず、地政学そのものを規定する。ロテ島、国後島、与那国、大ニコバル――いずれも偶然の地点ではなく、戦略的選択が刻印された場所である。
海の底で起きているこの静かな異変こそ、次なる大波乱の前兆。戦況は今、深海の闇を揺らしながら、世界規模の布石を整えつつある。
次の舞台は、さらに広域の海図――海底の結節を制した者が、次代の覇権を握ることになる。