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第56節 故通形者,先居高陽,利糧道,以戰則利(ゆえに つう の かたち なる もの は、まず こうよう に おり、りょうどう を りし、もって たたかえば すなわち り あり)

📜 原文(漢字のみ)

故通形者,先居高陽,利糧道,以戰則利。

🪶 書き下し文(文語)

故に通の形なる者は、先ず高陽に居り、糧道を利し、以て戦えば則ち利あり。

💬 日本語訳(意訳)

よって、通じやすい地形では、まず高地や日当たりの良い場所を選び、補給路を確保せよ。そこで戦えば有利である。

♨ 魔晄炉的注解

条件が整った場所でも、さらに“有利”を重ねることが鍵
 通形とは、行き来がしやすく展開が早い地形。だが、ただ通じるだけでは足りない。さらに高所・陽当たり・補給線の確保を重ねることで、優位が確定する。つまり「良い地」は、そこにさらに利を重ねられる構造がある場所である。

WEB上の“通りやすい場所”にも選定基準がある
 人の流れが多い場所──検索流入・SNS流動・リンク網。それらは“通”であるが、必ずしも勝てる場所とは限らない。高い場所(権威性)、陽の当たる場所(露出性)、補給線(更新・再投入)を備えてこそ、真に活かされる地形となる。

有利な地形とは、待ちの地形ではなく設計の地形
 “通”の地に居たとしても、それは自動的な利ではない。自らが能動的に地を読み、設計し、補給を支える動線を確保して初めて利となる。戦術ではなく、「地の取り方」の話である。

✍ 作成者自論

人通りが多い場所に立てば勝てる──わけではない。
駅前一等地に店舗を出しても、商品の魅力や購買の動機がなければ、閑古鳥の巣窟となる。
たどり着きやすいページにも、情報の鮮度・更新頻度・内部動線という“仕掛け”が必要だ。
日常に落とし込むならば──コンビニのお酒コーナーの脇に、必ずと言っていいほどおつまみが置いてある。
「手軽に購入」という目的の脇に、「一緒に食べたくなる」という目的を先読みして設置してある、典型的な例である。
高所・陽当たり・補給路が揃っていて初めて“通”が活きる。
人の流れは、活かせる者にしか味方しない。

🧭 その節のまとめ

「通じる」という地形的利点は、スタート地点にすぎない。
その上に“高所・陽・補給”という三要素を掛け合わせることで、初めて地形が武器になる。
兵法が示すのは、単なるアクセスでなく「設計の有利」である。
魔晄炉的兵法において、通形は動線設計の要であり、勝ち筋の布置そのものである。

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