孫子兵法 全78節 一覧
始計篇
第1節 兵は国の大事なり (戦略原理)
第2節 五事を以て経(はか)り、七計を以て校(くら)ぶ (戦略原理)
第3節 孰能有利(いずれ よく り ある か) (戦略原理)
第4節 吾以此知勝敗矣(われ これ を もって しょうはい を しる) (戦略原理)
第5節 將聽吾計,用之必勝,留之;將不聽吾計,用之必敗,去之(しょう わが けい を きき、これ を もちうれば かならず かつ、これ を とどむべし; しょう わが けい を きかずして これ を もちうれば かならず やぶる、これ を さるべし) (戦略原理)
第6節 計利以聽,乃爲之勢,以佐其外(り を はかりて これ を きき、すなわち これ が いきを なして、その ほか を たすく) (戦略原理)
第7節 兵者,詭道也(へい は きどう なり) (戦略原理)
作戦篇
第8節 凡用兵之法,馳車千駟,革車千乗,帶甲十萬,千里饋糧(およそ へい を もちうる の ほう は、ちしゃ せんし、かくしゃ せんじょう、たいこう じゅうまん、せんり に して りょう を おくる) (戦略原理)
第9節 其用戰也勝,以奇勝(その いくさ を もちうる や かつ は、き を もって かつ) (戦略原理)
第10節 形兵之極,至於無形(へい を あらわす こと の きょく は、かたち なき に いたる) (戦略原理)
第11節 前所之人不知所爲,後所之人不知所取(まえ に ゆく もの は その なす ところ を しられず、うしろ に したがう もの も その とる ところ を しられず) (戦略原理)
第12節 視卒如嬰兒,故可與之赴深溪;視卒如愛子,故可與之俱死(そつ を みる こと えいじ の ごとく すれば、ゆえに これ と ともに ふかき たに に おもむく べし;そつ を みる こと あいし の ごとく すれば、ゆえに これ と ともに しす べし) (戦略原理)
第13節 故善用兵者,避其鋒芒,不與正正之旗(ゆえに へい を よく もちうる もの は、その ほうぼう を さけ、せいせい の はた に くみせず) (戦略原理)
第14節 不與正正之旗,必以奇勝(せいせい の はた と は くまず、かならず き を もって かつ)、故兵之形,避實而擊虛(ゆえに へい の かたち は、じつ を さけて きょ を うつ) (戦略原理)
謀攻篇
第15節 上兵伐謀,其次伐交,其次伐兵,其下攻城(じょうへい は はかりごと を うつ、その つぎ は まじわり を うつ、その つぎ は へい を うつ、その しも は しろ を せむ) (戦略原理)
第16節 夫城を攻むるの法は,已むを得ざるにしてこれを為す(それ しろ を せむる の ほう は、やむ を えざる に して これ を なす) (戦略原理)
第17節 將不勝其忿而蟻附之,殺士三分之一,而城不拔者,此攻之災也(しょう その いかり に たえずして あり の ごとく これ に つき、し の さんぶん の いち を ころし、しかも しろ ぬけざる は、これ せめ の わざわい なり) (戦略原理)
第18節 故善用兵者,屈人之兵而非戰也(ゆえに へい を よく もちうる もの は、ひと の へい を くっして たたかわず)、拔人之城而非攻也(ひと の しろ を ぬいて せめず)、毀人之國而非久也(ひと の くに を ほろぼして ひさしからず)、必以全爭於天下(かならず もって まったく てんか に あらそう)、故兵不頓而利可全(ゆえに へい とどこおらずして り を まっとうす)、此謀攻之法也(これ ぼうこう の ほう なり) (戦略原理)
第19節 是故百戰百勝,非善之善者也(ここにゆえに ひゃくたび たたかいて ひゃくたび かつ は、ぜん の ぜん なる もの に あらざる なり);不戰而屈人之兵,善之善者也(たたかわずして ひと の へい を くっする、これ ぜん の ぜん なる もの なり) (戦略原理)
第20節 故上兵伐謀,其次伐交,其次伐兵,其下攻城(ゆえに じょうへい は はかりごと を うち、その つぎ は まじわり を うち、その つぎ は へい を うち、その しも は しろ を せむ)、攻城之法爲不得已(しろ を せむる の ほう は やむ を えざる にして これ を なす)、修櫓轒轀,具器械(三かげつ にして のち なる)、距闉,又三月而後已(また さんかげつ を へて のち やむ)…此謀攻之法也(これ ぼうこう の ほう なり) (戦略原理)
軍形篇
第21節 凡治衆如治寡,分數是也(そんし いわく:およそ しゅう を おさむる こと は、しょう を おさむる が ごとし、ぶんすう これ なり) (組織統御)
第22節 鬥衆如鬥寡,形名是也(おおく を たたかう こと は、すくなきを たたかう が ごとし、けいめい これ なり) (組織統御)
第23節 故善戰者之勝也,無智名,無勇功(ゆえに、よく たたかう もの の かちは、ちめい なく、ゆうこう なし) (組織統御)
第24節 故其戰勝不忒,不忒者,其所措必勝,勝已敗者也(ゆえに その せんしょう、あやまらず。あやまらざる は、その おく ところ、かならず かつ。かつ は、すでに やぶるる もの を して の かち なり) (組織統御)
第25節 善戰者立於不敗之地,而不失敵之敗也(よく たたかう もの は、ふはい の ち に たちて、しかも てき の やぶれ を うしなわず) (組織統御)
第26節 是故勝兵先勝而後求戰,敗兵先戰而後求勝(この ゆえに、かつ へい は まず かちて しかる のち に たたかい を もとめ、やぶるる へい は まず たたかいて しかる のち に かち を もとむ) (組織統御)
第27節 見勝不過衆人之知,非善之善者也;勝而天下曰善,非善之善者也(かち を あらわす こと、しゅうじん の ち を すぎずんば、ぜん の ぜん たる もの に あらず。かちて てんか の いわく「よし」と する は、ぜん の ぜん たる もの に あらざる なり) (組織統御)
兵勢篇
第28節 善用兵者,修道而保法,故能為勝敗之政(へい を よく もちうる もの は、みち を おさめて ほう を たもち、ゆえに しょうはい の まつりごと を なす こと あたう) (戦力運用)
第29節 勢者,因利而制權也(せい とは、り に よりて けん を せいする なり) (戦力運用)
第30節 兵之形,避實而擊虛;兵之勢,如轉圓石於千仞之山者,勢也(へい の かたち は じつ を さけて きょ を うち、へい の せい は、せんじん の やま より えんせき を てんずる が ごとし。これ せい なり) (戦力運用)
第31節 激水之疾,至於漂石者,勢也;鷙鳥之擊,至於毀折者,節也(げきすい の はやくして いし を ただよわす は、せい なり。しちょう の うちて きせつ する に いたる は、せつ なり) (戦力運用)
第32節 故善用兵者,譬如率然,率然者,常山之蛇也;擊其首則尾至,擊其尾則首至,擊其中則首尾俱至(ゆえに へい を よく もちうる もの は、そつぜん の ごとし。そつぜん とは、じょうざん の へび なり。その くび を うてば お が いたり、お を うてば くび が いたり、なか を うてば くび お ともに いたる) (戦力運用)
第33節 是故善用兵者,能使敵之前後不相及,衆寡不相恃,貴賤不相救,上下不相收,卒離而不集,若以形制之,若以氣勝之,若以節動之(この ゆえに へい を よく もちうる もの は、てき の ぜんご を して あい およばざらしめ、しゅうか して あい たのまず、きせん して あい すくわず、じょうげ して あい おさめず、そつ を はなして あつめず、かの かたち を もって これ を せいし、き を もって これ に かち、せつ を もって これ を うごかす) (戦力運用)
第34節 故善用兵者,避其鋒芒,而乘其隙也(ゆえに へい を よく もちうる もの は、その ほうぼう を さけて、その げき に じょうず) (戦力運用)
虚実篇
第35節 兵之情主速,乘人之不及,由不虞之道,攻其所不戒也(へい の じょう は そく を しゅ と す。ひと の およばざる に じょうじ、たのまざる の みち より して、その いましめざる ところ を せむ) (戦術原理)
第36節 凡戰者,以正合,以奇勝(およそ たたかう もの は、せい を もって がっし、き を もって かつ) (戦術原理)
第37節 奇正之變,不可勝窮也,如循環之無端,孰能窮之(きせい の へん は、あげて きわむべからず。じゅんかん して はてなき が ごとし。たれ か よく これ を きわめん) (戦術原理)
第38節 兵無常勢,水無常形,能因敵變化而取勝者,謂之神(へい に つね の せい なく、みず に つね の かたち なし。よく てき に よりて へんか し、しょう を とる もの を、これ を しん と いう) (戦術原理)
第39節 能因敵而制勝者,謂之神(よく てき に よりて しょう を せいする もの を、これ を しん と いう) (戦術原理)
第40節 形兵之極,至於無形;無形則深間不能窺,智者不能謀(へい を かたちづくる こと の きょく は、むけい に いたる。むけい なれば、しんかん も うかがう こと あたわず、ちしゃ も はかる こと あたわず) (戦術原理)
軍争篇
第41節 凡用兵之法、將受命於君、合軍聚衆、交和而舍、莫難於軍爭(そんし いわく:およそ へい を もちうる の ほう は、しょう くん より めい を うけ、ぐん を あわせ しゅう を あつめ、まじわり わして とどまる。ぐんそう より かたき は な し) (戦略運用)
第42節 軍爭之難者、以迂爲直、以患爲利(ぐんそう の かたき は、う を もって ちょく となし、うれい を もって り と なす) (戦略運用)
第43節 迂直之計、以利動之、以卒難之(うちょく の けい、り を もって これ を うごかし、にはか にして これ を くるしむ) (戦略運用)
第44節 故軍無倍約、無禍重利、無急于危地(ゆえに ぐん は、ばいやく する こと なく、わざわい を もって り を かさねず、きち に おいて いそぐ こと なし) (戦略運用)
第45節 軍無百疾、無以知敵之情也(ぐん、ひゃくしつ なからざれば、もって てき の じょう を しる こと なし) (戦略運用)
第46節 是故勝兵先勝而後求戰、敗兵先戰而後求勝(この ゆえに、かつ へい は まず かちて しかるのち に たたかい を もとめ、やぶるる へい は まず たたかいて しかるのち に かち を もとむ) (戦略運用)
第47節 能使敵之前後不相及、衆寡不相恃、貴賤不相救、上下不相收、卒離而不集、是謂用間之勢也(よく てき の ぜんご をして あい およばざらしめ、しゅう すくなくして あい たのまず、きせん して あい すくわず、じょうげ して あい おさめず、そつ を はなして あつめず、これ を かん を もちうる の いきおい と いう なり) (戦略運用)
第48節 地形有通者、有挂者、有支者、有隘者、有険者、有遠者(ちけい に つうずる もの あり、けい する もの あり、し する もの あり、あい する もの あり、けん する もの あり、えん する もの あり) (戦略運用)
第49節 地形者兵之助也。知地之道者勝、不知者不勝(ちけい は へい の たすけ なり。ち の みち を しる もの は かち、しらざる もの は かたず) (戦略運用)
第50節 故兵無常勢、水無常形。能因敵變化而取勝者、謂之神(ゆえに へい に つね の せい なく、みず に つね の かたち なし。よく てき の へんか に よりて かち を とる もの、これ を しん と いう) (戦略運用)
第51節 故善戰者、致人而不致于人。能使敵人自至、而自以得所欲者也(ゆえに いくさ に よくする もの は、ひと を いたして ひと に いたされず。よく てきじん をして みずから いたらしめ、みずから ほっする ところ を える もの なり) (戦略運用)
第52節 凡戰者、以正合、以奇勝。故善出奇者、無窮如天地、不竭如江河(およそ たたかう もの は、せい を もって がっし、き を もって かつ。ゆえに、き を いだす に よくする もの は、きわまりなくして てんち の ごとく、つきずして こうが の ごとし) (戦略運用)
第53節 夫兵形、避實而撃虚(それ へい の かたち は、じつ を さけて きょ を うつ) (戦略運用)
地形篇
第54節 地形有通者、有挂者、有支者、有隘者、有険者、有遠者(ちけい には、つう なる もの あり、けい なる もの あり、し なる もの あり、あい なる もの あり、けん なる もの あり、えん なる もの あり) (戦略運用)
第55節 凡此六者,地之道也,將之所處,生死之地,不可不察也(およそ この ろくしゃ は、ち の みち なり。しょう の しょする ところ、せいし の ち にして、さっせざる べからず) (戦略運用)
第56節 故通形者,先居高陽,利糧道,以戰則利(ゆえに つう の かたち なる もの は、まず こうよう に おり、りょうどう を りし、もって たたかえば すなわち り あり) (戦略運用)
第57節 絶地者,無居,衢地者,合交,圍地者,謀,死地者,戰(ぜっち なる もの は、いること なく、くち なる もの は、まじわり を あわす。いち なる もの は、はかりごと を めぐらし、しち なる もの は、たたかう) (戦略運用)
第58節 是故不知諸侯之謀者,不能豫交(この ゆえに しょこう の はかりごと を しらざる もの は、よく まじわる に あらかじめ する こと あたわず) (戦略運用)
第59節 視卒為上,視軍為次,視城為下(そつ を みる を じょう となし、ぐん を みる を つぎ となし、じょう を みる を げ と なす) (戦略運用)
第60節 故兵無常勢,水無常形,能因敵變化而取勝者,謂之神(ゆえに へい に つね の せい なく、みず に つね の かたち なし。よく てき に よりて へんか し、もって しょう を とる もの を、これ を しん と いう) (戦略運用)
九地篇
第61節 凡地有九、散地、軽地、争地、交地、衢地、重地、圍地、死地、通地(およそ、ちに きゅう あり。さんち・けいち・そうち・こうち・くち・じゅうち・いち・しち・つうち なり) (九地分類)
第62節 凡諸侯之地而反覆者、散地也(およそ しょこう の ち に ありて、はんぷく する もの は さんち なり) (九地分類)
第63節 深入而軽戰者、進可以也、退可以也(ふかく いらず して かるく たたかえば、すなわち すすむも かなり、しりぞくも かなり) (九地分類)
第64節 彼此之地,先至而得之者爲主,後至而得之者爲客,是爭地也(かれ これ の ち、さきに いたりて これ を うる もの は しゅ と なり、おくれて いたりて これ を うる もの は かく と なる。これ を そうち と いう) (九地分類)
第65節 我與諸侯相交之地,通其道路,是爲交地(われ と しょこう と あいまじわる の ち に して、その みち を つうずる は、これ こうち と なす) (九地分類)
第66節 彼此諸侯之地,四通者爲衢地(かれ これ しょこう の ち に して、しほう に つうずる を くち と なす) (九地分類)
第67節 入人之地深,背城而戰者爲重地(ひとの ち に いりて ふかく、しろ を はい に して たたかう は、じゅうち と なす) (九地分類)
第68節 入深地,前有敵,後無救,左右不能救,爲圍地(ふかき ち に いり、まえ に てき ありて、うしろ に すくい なく、さゆう も すくえざる は、いち と なす) (九地分類)
第69節 入則生,不入則死,是死地也(いらば すなわち いき、いらざれば すなわち しす。これ を しち と いう) (九地分類)
火攻篇
第70節 凡行軍、深入則專、主人不可以奪之(およそ ぐん を おこなう に、しんにゅう すれば すなわち もっぱら と し、しゅ は これ を うばう べからず) (火攻法則)
第71節 軍無輜重則亡、無糧食則亡、無委積則亡(ぐん に しちょう なければ すなわち ほろぶ、りょうしょく なければ すなわち ほろぶ、いせき なければ すなわち ほろぶ) (火攻法則)
第72節 將之所處、軍之所居、氷必瀝水、草木枯槁者、爲之居也(しょう の ところる ところ、ぐん の おる ところ、こおり は かならず みず を もり、そうもく ここう する は、これ を きょ と なす なり) (火攻法則)
第73節 兵未陳而廟算不勝者、去之(へい いまだ つらねず して、びょうさん かたざる もの は、これ を さる) (火攻法則)
第74節 凡軍之患、必在其後(およそ ぐん の うれい は、かならず その うしろ に あり) (火攻法則)
用間篇
第75節 師疾日倍,百里將擒者,其軍半不至(し を とお して ひ を ばい すれば、ひゃくり に して しょう を とらう もの は その ぐん の なかば に いたらず) (間諜運用)
第76節 凡軍疾利圖、百里得利者、將去重者也(およそ ぐん を とくして り を はかる に、ひゃくり に して り を うる もの は、しょう の それ おもきを さる もの なり) (間諜運用)
第77節 百里得利者、三軍擒(ひゃくり に して り を うる もの は、さんぐん とらわる) (間諜運用)
第78節 三軍之發、後必虚竭(さんぐん の はっすれば、のち は かならず むなしくして つく) (間諜運用)
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