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第33節 是故善用兵者,能使敵之前後不相及,衆寡不相恃,貴賤不相救,上下不相收,卒離而不集,若以形制之,若以氣勝之,若以節動之(この ゆえに へい を よく もちうる もの は、てき の ぜんご を して あい およばざらしめ、しゅうか して あい たのまず、きせん して あい すくわず、じょうげ して あい おさめず、そつ を はなして あつめず、かの かたち を もって これ を せいし、き を もって これ に かち、せつ を もって これ を うごかす)

📜 原文(漢字のみ)

是故善用兵者、能使敵之前後不相及、衆寡不相恃、貴賤不相救、上下不相收、卒離而不集、若以形制之、若以氣勝之、若以節動之。

🪶 書き下し文(文語)

このゆえに兵をよく用うる者は、敵の前後をして相及ばざらしめ、衆寡して相恃(たの)まず、貴賤して相救わず、上下して相収めず、卒(そつ)を離して集めず、
かの形を以てこれを制し、気を以てこれに勝ち、節を以てこれを動かす。

💬 日本語訳(意訳)

ゆえに兵を巧みに使う者は、
敵の前と後ろが連携できず、多勢と少数が支え合えず、身分の上下も助け合えず、隊の統制も乱れた状態を生む。
そのうえで、「形(配置)」によって支配し、「気(士気・空気)」で優位を取り、「節(タイミング)」で動かしていく。

♨ 魔晄炉的注解

1. 敵の「つながり」を断つことが先
真正面から破るのではなく、敵の“内部連携”を崩すことが最優先。
連携が断たれた時点で、すでに勝ちは始まっている。

2. 形・気・節──三位一体で勝ちを導く
「形」=空間的支配、「気」=空気と士気の磁場、「節」=断点の集中制御。
これらを一貫して運用することで、敵は“自滅的状態”に近づいていく。

3. 勝利とは崩壊の演出である
勝ちとは、自らぶつかって奪うものではない。
崩れを起こす磁場を仕掛け、そこへ「節」で一撃を放つ。
自滅を促し、連携を断ち、支援を切り、分断を演出せよ──
それが本当に支配している者の勝ち方。

✍ 作成者自論

勝ちたいなら、崩せ。崩すなら、繋がりを断て。
相手が内部で支え合う機構そのものを壊せば、戦わずとも崩れていく。
そのうえで「空間」「空気」「間」を制御すれば、相手の手は自然に狂う。
ぶつかるな。
崩れるように誘導しろ。空気と配置と断点で相手を壊せ。
勝ちとは力の行使ではなく、設計による“分断の演出”である。

🧭 その節のまとめ

この節は、勝利とは「破壊」ではなく「崩壊させる構造」だと教えている。
魔晄炉的兵法では、勝つ=断ち切る+誘導する+沈めるの三段階で成り立つ。
形で包囲し、気で狂わせ、節で決める。
勝ちたいなら、つながりを断て。
ぶつかるな、崩させろ。

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