將聽吾計,用之必勝,留之;將不聽吾計,用之必敗,去之。
将、吾が計を聴きてこれを用うれば必ず勝つ。これを留むべし。将、吾が計を聴かずしてこれを用うれば必ず敗る。これを去るべし。
もし将が私の策を聞き入れて実行するならば、必ず勝利するだろう。ゆえに留めるべきである。
だが、策を聞かずに実行するならば、必ず敗れる。ゆえにその将は退けるべきだ。
1. 発信における“方針と実行者”の一致
どれほど優れた設計があっても、それを実行する側が理解し、信じ、動かなければ意味がない。思想もまた同じ。形にする者が信じて動けなければ、発信は瓦解する。
2. 路線が違えば共倒れになる
意見を否定することではなく、「方向性の合わないまま進める危険」を語っている節。合わないと感じたら、早めに離れる判断も生存のための技術である。
3. 知恵を活かせない現場に知恵は死ぬ
いかなる思想も、それを運用できない場に置かれれば腐る。響かぬ環境、聞く耳を持たぬ場──そこに留まり続ける理由はない。思考は流れるものであり、閉ざされた場所で発酵は起きない。
言葉と行動がかみ合わない者に、未来を託すことはできない。
どれだけ正しくても、響かない場所では力にならない。撤退もまた戦略のうちだ。
「止める判断」と「退く勇気」──この匙加減は難しいが、時にそれが最も賢明な一手となる。
この節が教えるのは、「信頼のない戦場では戦うな」という徹底した非情さである。
魔晄炉的兵法では、“発信の船”に乗せる仲間や環境の選定を誤らないことを重視する。
勝てるかどうかより、“この道を一緒に歩めるかどうか”。
信じ合えないなら、早く降りよ。思想は無理やり運ばれるものではない。